本谷有希子の小説読んだ。
とてもよかった。余韻に浸ってしまうような。
簡単に、無理しないでねって言ってしまえる世の中で、楽しないでね、って言うのはとっても難しいと思うから。
でも本当は、楽してほしくないものね。
「色気は生活に負ける。」
「でもそれじゃあ、あと3度足りないんだってことがこの馬鹿にはどうしても伝わらない。」
「もしあたしがあなただったらつまんなすぎて今すぐ死ねますよ」
「津奈木は自分の意見を主張しないことで、自分の中で作り上げている世界に他人を介入させない。自分と他人の間に絶対的な距離を置いていて、年に漫画や小説を百も二百も読んではその価値観にじっくり浸り、強固な津奈木ワールドを築きあげている。」
「あんたの味のなさ、あたしにちょうだい」
「どうしたら説教じゃなくて会話になるんだろう」
「頭おかしいのってなおるのかなあ。」「いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ」
「お願いだから楽しないでよ」
「こういう意味が分かんなくてきれいなものがまた見たいと思ったから」
「あたしはもう一生、誰に分かられなくったっていいから、あんたにこの光景の五千分の一秒を覚えてもらいたい」
「クビになるためにバイトするわけじゃないし、眠るために起きるわけじゃないし、別れるために恋愛するわけじゃないし、またあとで鬱になるために立ち直るわけじゃない。」
「でもお前のこと、ちゃんと分かりたかったよ」
「やめろよ。こんな節分みたいなことされて、どんな反応していいか分かんないだろ」
「ビデオのことでケンカせずに家を飛び出さなかったかもしれない自分達に用意されていた朝と、こうして家出までして結局迎えにこさせてる今と結局どこが違うんだろう」