君たちに明日はない

とってもドラマ化しやすそうな小説だなあと思った。 首切りプロ集団という設定が斬新。 ポップでフラットで時に辛辣な文章が心地よいです。 今とは少し時代が違うけれど、仕事の中で生まれる不協和音がリアルで、こういう人いるなーってなりました。 「世の…

日記(2024年2月)

誰かに会いに行く、会いに来るというやりとりを、ずっと怠らないでいたい。 雪の中の3姉妹。 引越、手伝ってくれる人がたくさんいるのは幸せなこと。 ぽかぽかのお部屋でおいしいものをたくさん食べる。それだけで嬉しい。 知り合いからの飲み会を断ろうとか…

平場の月

ここ最近でいちばんのヒット。 タイトルからしてセンス抜群。 文体が独特で、唯一無二でかっこいい小説だなと思った。 心を持っていかれる何かがある。 文章が好きすぎてたくさんメモしてしまうな。 言葉にすることができないと思っていたものまで、空気とか…

ナイルパーチの女子会

最近、山本周五郎賞をいろいろ読んでいて。 好きなタイプの小説ではないけど、筆者の観察眼がするどい。 基本的に形振りかまわない迫力があったけど、後半、真織の豹変がいくらなんでもぶっとびすぎてて、ちょっとがっかりしてしまった。みんな、堕ちていく…

温室デイズ

手厳しい教室内の描写。 その中でも、ひょうひょうとした愛されキャラを書くのが上手な著者だなあと思う。 どこに行ったって、結局は温室なのかな。 誰にでも、話を聞いてくれる人が必要で。 でも、よく知る誰かじゃないと、近づけないようなオーラをもって…

満願

インシテミルのひとなのか! どうりで怖いと思った。 日常に潜む狂気をふんだんに盛り込んだミステリー。伏線回収もありつつの意表をつくようなラスト。 ひとつひとつの短編のクオリティが異様に高いです。 人のだめなところとか、嫌なところとか、描き出すそ…

Nのために

見直してしまった。 賀来賢人の役が最高だ。 ノバラ荘での、3人のやりとりがとても好きだった。 ミッションや事件がいろいろあってハラハラするのに、根底にある愛が底なしに深くて心揺さぶられる。 誰にも頼らず、一人で生きていきたいっていう主人公の生き…

ザ・ロイヤルファミリー

「店長がバカすぎて」しか読んだことがなかったから、あまり本作とイメージが重ならないなあ。 丁寧な敬語語り口が少し新鮮で、物語としては引き込まれていくかんじがありました。 社長のキャラクターが鮮明で。 決着が文中では劇的に告げられないで、戦績表…

おしまいのデート

瀬尾まいこ、久しぶりに読んだ。 ぬくぬくのイメージがあったけど、意外と攻撃的な描写もあったんだな。 からっと笑える場面も多かった。 短編集だけど、最初の3作が気に入った。いろんな人と人との関係性がある。思ってもみなかった人と、心が通ったなって…

ムービング

ちょっとバイオレンス多めだけど、脚本すごすぎて何も言えない。 シリアスサスペンスと超絶アクションとラブコメと家族愛とSFと。振り幅が大きすぎてついていくのが大変だ。 ストーリー展開が、あれほどまでに深みを増していくとは誰が予想しただろうか。 ボ…

嘘と正典

小川哲の賢さがあふれている。 やっぱり、珠玉のエンターテイメントの創り手、というかんじがするのだけど、この作品には、カルチャーへの愛みたいなものが詰まっててよかった。 短編集だけど、読み応えばっちり。 時を超えて届くものがあるって、思わせてく…

季節のない街

最高だ。さすがクドカン。 最終回で、全部持っていかれた。 大暴れの爆発力が大好き。 池松くんとたいがと渡辺くんの3人組筆頭に、キャストが良すぎるし。 何があっても人生は続いていくし、なんでもおおらかに受け止めたいね。 トラの役者さん、どんどん目…

日記(2024年1月)

本当は、警戒なんてしなくても、話せばわかってもらえるのかもしれないこと。 心配ないよ。やることだけ、しっかりやるだけよ。 人を信用しないことを覚えたら、本当の親切と腹黒さの見分けがつかなくなった。 部屋をきれいにしたらぐっすり眠れる。 バース…

オーバーヒート

すごく、引き込まれた。 好きなテンションの語りだ。 さすが、哲学者だし、ツイッターの人。言葉の操り方や捉え方がものすごい。 あとは、やっぱりゲイの恋愛事情など、当事者の視点からの話はおもしろいなあ。 知らない世界の見え方がワクワクする。 「だか…

アカシア

辻仁成の短編集。 おとぎ話、というより外国の童話のような、静かで、教訓的な、少し甘ったるいかんじだ。 明日の約束、がいちばん好きだった。 既存の社会に持つ違和感。 自分に嘘をつかないで、生きていきたいですね。 人の瞳の中には、銀河がある。そのこ…

自分を好きになる方法。

本谷有希子の、6日間で1人の女の人の人生を描こうとする実験的な作品。 28歳のリンデの、カップル感の価値観の違いが浮き彫りになる描写、見事だった。 ほんとうに分かり合える誰かを、ずっと求めて、夢見て、期待して、敗れていくさまが、よくわかるし…

bad lands

こてこての大阪舞台で、去年しんせかいのあたりをたくさん歩いたので知ってる場所が出てきて嬉しかった。 大阪弁が、だんだんと心地よくなってくる。 詐欺師の世界のルールとか、あんまり知らない。生きてる世界が違う。 少しだけ、愛のむき出しとかを思い出…

べいびーわるきゅーれ

バイオレンスだけど、主演のふたりのだるい感じが最高。 アクションがものすごくって、スタントウーマンなんだ。 殺し屋っていう本職が、日常と化している感じがとても上手く描かれてて、コミカル。 2人の会話が、現代の若者の代弁みたいな。しゃべり方とか…

メイドインアビス

すごいアニメだ。 完全に新たな世界を創り上げている。 出てくるキャラクターがみなキュートで、声とかもとてもよい。マルルクとななちが特に好き。 生きものたちも、見たこともない不思議な世界の住人。 残酷さが、ずっと根底にあって、美しく魅惑的な世界…

心の深みへ

河合隼雄と柳田邦男の対談集。 柳田國男かと思ったら違ったね。時代が違うね。 でも、すごくおもしろかったし共感するところが多かった。 感情が、人間にとって大切。 心の問題を、生きることの本質を、これからもずっと考えていきたいと思った。 死ぬことを…

VIVANT

すごすぎる。 物語が壮大で、予想もつかない。誰が味方か敵か、わからない。 モンゴルの景色も雄大で、異国感あふれて何が起こるかわからないかんじがたまらない。 ずっとドキドキワクワクする。 エンタメとして最高傑作レベルで、俳優陣も超豪華で、これま…

マリアさま

いしいしんじの短編集。 唯一無二の観察眼と、世界に対する表現力を持った人だなあと思う。 そして、地理感覚にも優れた人なのだろうと思う。 一瞬で、見たことのない世界に連れて行ってくれる。 「ティムは、ティムだけが知っているやりかたで、その土地ま…

カランコエの花

素晴らしい作品だった。 高校生たちの繊細さや不安定さが、なんでもないことをおおごとにしていくかんじ。 大人たちが思っても見なかったふうに、教室の空気は変わっていく。 知らないうちに傷つけ傷つけられてしまうこと。 無知や経験のなさゆえに、適切な…

踊り場にて

生方美久のデビュー作。 諦めることをテーマに、言葉のおもしろさや、世間へのささやかな反抗が、詰まってるさすがの脚本だなあと思いました。 叶った夢は、見えづらくなるけど、なくなるわけじゃない。 自分の実力が明らかになったら、諦めるのは前向きな決…

29歳のクリスマス

ああ、素晴らしかった。 特に、最終話ののりことあやの迫真のやり合いが、歴史に残る素晴らしい名シーンだった。 けんちゃんとの3人の絆がよかったなあ。 広いお家での3人のわいわいしたところ、見てるだけで楽しくなった。 山口智子の、テレビとは思えない…

日記(2023年12月)

12月なんだな。嬉しいな。 ちょっとサイズ大きいですかねって聞いたら、いいんじゃないですか、好きで着るんですからって言われた。店員さんとしては、模範じゃないかもだけど。 後輩にごはんを奢る。免罪符みたいなかんじなんだろうか。 ぐらぐら揺れている…

ハネムーン

吉本ばななの真骨頂みたいな小説だ。 丁寧で、ゆっくりで、力強い。 庭でぼーっとするところとか、自分に重なるところがあって驚いてしまう。 かけがえのない人に、正しい時に、正しいことをしてあげられる人間でありたいと思う。 自分も、弱ったときに、正…

クリスマスを探偵と

伊坂幸太郎の絵本なんて、少し意外で、とても素敵だ。 人間の、悪いところ、ひねくれたところをきちんと見つめながら、愛のある物語を生み出し続けてくれる。見事な伏線回収とともに。 絵本の中でも、著者らしさを感じた。 絵も、明るすぎないトーンでよいで…

都会のトム&ソーヤ20

いつ読んでも、はやみねかおるは最高だ。 子供の時から、ずっと変わらず、ドキドキワクワクを与え続けてくれる。 夢水も、クイーンも、トム・ソーヤも大好き。 ユーモアに、何度も声を出して笑ってしまう。 自由自在にかけまわる愛すべき登場人物たちに、日…

親友

川端康成の親友、読みました。 外国の児童文学を読んでるみたいだと思った。 人と人との関係性や心情の変化がとても丁寧に書かれていて。 一人称がゆらゆらと移り変わっているのも少し不思議な感じがする。 川端康成は、女の子の双子に関心があったのだとか。…