凍りのくじら

2回目に、読んだ。やっぱりすごい。

人間観察力がすごすぎる。

若尾の、堕ちていく描写なんかは、天下一品。

最後は少し無理があるような気はするけれど、共感度は、数あるお気に入りの辻村作品の中でもトップかもしれない。

少し、不在。いつも感じてたこと。

私の思う頭の良さも、読書量に比例する気がします。実用書とか、そういうのばかりじゃないやつ。

 

「私はどの世界にも好きな時に入り込める。」

「ねぇ、もっと刺激的なことを用意してくれなくちゃ、読者は興味を引きつけられない。」

「人を馬鹿にしすぎる。」

「だけど私は、Sukoshi・Fuzai(少し・不在)だ。いつでも。場の当事者になることが絶対になく、どこにいてもそこを自分の居場所だと思えない。それは、とても息苦しい私の性質。」

「私が仮にも愛していた彼氏は、こんな調子の崩れた人だったろうか。どうしてそんなに弱いの。頼むよ、しっかりしてよ。」「言葉が通じないこと、思いが届かないことを痛感して愕然とする。」

「別所相手であれば、絶対に引かれないという確信があった。」

「最近であった人間の中でピカイチの掘り出し物だ。」

「だってあれは、個人の性格と優しさが作りあげた賜物だから。優しい人間になりたいなぁ、いつもそう言ってた。」

「日本のような平和で満ち足りた先進国に育った人間でなければあり得ない、そういう種類の弱い病。」

「君、まるでその彼氏を信じていなかったね」

「だってあんたの夢は、形骸化してもうボロボロだ。」

「あんたの愚鈍さを、ずっと覚えてるんだ。」

「刹那的な楽しさにお金を使うことができないのは、余裕がなくて、貧しいように思えたんです。」

「だけど、獅子座流星群を見たんだ。私と若尾は。」「私に若尾大紀を返してくれ」

「挫折しなくちゃ」

「息のできない、氷詰めの海とくじら」

「母親と、本人の葬儀の話なんてしたいわけないだろう。馬鹿野郎。」

「どうやったの?郁也。」「どうやって、それに耐えた?」

「頼ってくれなきゃ、ダメじゃん、、、」

「私たちは、あなたがとても好きでした」