絶望の国の幸福な若者たち

古市くん、しっかり社会学者であった。

古い本だから今では当たり前の感覚になってることも多いけれど。切れ味鋭い。

本人の、当事者感もあいまって、センセーショナルな本ですね。

 

徳富の若者の人格五類型化はおもしろいかも。

模範青年、成功青年、煩悶青年、耽溺青年、無色青年

 

今を幸せと感じる一方で、生活に不安を感じている若者も多い。

仲間たちとのんびりと自分の生活を楽しむ生き方。

戦争が起こったら国のために働きますかという質問にいいえと答える人が他の国に比べて異様に高い日本。

ぶっちぎりで国防意識が低いのだと。

自分の力では政府の決定に影響を与えられないと考える高校生は8割で、アメリカの倍。

共同性に、社会を変えるという目的が回収されてしまう?わかる気がする。すごいって言われれば満足してしまう感覚ね。

実利利益からはなれたコミュニティで提供されるぬくぬくした相互承認のおかげで、若者たちは社会の様々な問題を解決せずとも生きていけるようになる。

何かを勝ち得て自分を着飾るような時代と見切りをつけて、小さなコミュニティ内のささやかな相互承認とともに生きていく。

それは時代に適合した賢明な生き方でもある。

国家の存続よりも、歴史よりも、名誉よりも、大切なのは一人一人がいかに生きられるか、ということのはずである。

 

なんとなく幸せで、なんとなく不安。そんな時代を僕たちは生きていく。絶望の国の、幸福な若者として。