2022-01-01から1年間の記事一覧

この世界のぜんぶ

池澤夏樹の詩がすきです。きみの住む星とか。 表題の、「この世界のぜんぶ」という詩がよかった。 「この世界のぜんぶを きみにあげようと思ったけれど 気がついてみれば この世界はぼくのものではなかった」 ロマンチストだけど、植物や動物に関する知識が…

水中の哲学者たち

こんな人がいるんだなあと思った。 哲学することは、おもしろいよね。 「場の流れ的に」ひとが死ぬアクション映画とかが怖いという気持ち、よくわかる。あんなにも性格のよい主人公のまわりで、ひとの命が平等に扱われていないようなかんじ。 「好きな木が切…

コンビニに生まれかわってしまっても

作者の性別もわからない。俺が一人称の詩にたくさん惹かれたのは、どうしてだろう。 ひきこもり、70万人もいるんだね。みんな、ピクニックとかできないんだなって思いました。人間関係したいって、切実に、誰もが思ってる、きっと。 大好きな詩がたくさん…

穂村弘、いろいろ

新しい図書館に行ったので、穂村弘の本を手当たり次第に読んだりしました。おやすみなさい。 「海で洗ったひまわりを贈る 未発見ビタミン的な笑顔のひとに」 「自らをいじめるような歯磨きを午前3時に父はしていた」 「さやうなら煙のやうに日のやうに眠りに…

きっとあの人は眠っているんだよ

素敵なタイトル。 穂村弘の読書日記。 知ってる本がまったく出てこなくてびっくりする。 まだまだ知らない世界がたくさんある。 たくさんの言葉を吸い込みたいです。 「細部のリアリティの積み重ねが大きな夢を支えている」 或る世代以降の日本人が成熟でき…

きみは赤ちゃん

妊娠と子育ての一部始終が川上未映子の激情感を持って伝えられる、とっても読み応えのあるエッセイ。 日本における出産と育児のリアルが、ぎっしり詰まってる。 お腹を痛めて産む信仰のこと、産婦人科のこと、出産前の検査や入院のこと、パートナーとの信頼…

オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない

最終話、涙が止まりませんでした。 ももはちゃん、完璧に騙し切ってかっこよかった。 ななちゃん、とにかくすごくかわいかった。 にのんちゃん、言葉選びも似顔絵もすっごく素敵だった。 写真、撮りためて、アルバムつくってたりお。本当に大好きになった。 …

すきまのおともだち

こういう物語がかけたらいいな、と思います。 誰かにとってはあまりにつまらないもので、でも誰かにとっては小さな宝物みたいにいつまでも輝くもの。 キュートでユーモラスで、世の中にあるものを、静かに揺るがすようなもの。 「そんなの、生まれたばかりの…

平成遺産

いろんな人がいろいろなことを言っている。 生産性という言葉を人間にあてはめてはならないという言葉、同意します。 セカンドチャンスとか、そういう器の大きさを、日本にもたらしたいね。 「それぞれが違う景色をあの日、見ていたことを、私たちは知ってい…

もぐ

最果タヒの鋭さがほしくなって。 パフェは、ロマンチックを食べている、のかな。 毎日食べるものの美味しさに、素直に感動していたいね。 たまには、手の込んだものとか、つくってみようかな。 「芸術にする、とは要するに覚悟を決めてこだわり続けるという…

日記(2022年10月)

引っ越しのとき、居場所がない。 たくさん、夜をひとりでドライブ。 田舎の夜景は光のひとつひとつが小さく瞬く。 贈り物みたいな夕焼けを見る。 世界の美しさを何度も知る。 車の手続きの煩雑さに怒り。 バッテリーが上がってロードサービスを呼ぶ。時間が…

わたくし率イン歯ー、または世界

圧倒的な才能を見せつけられている感がすごいなあ。芥川賞にふさわしい作品だと思った。怒涛のように言葉が溢れてきて洪水みたい。根本的な何かを揺るがすような力があるなあと思う。 ただ、川上未映子作品は、たまに登場人物が不自然なほど饒舌で、向こう側…

キングオブコント2022

個人的には、去年のほうが感情移入できたのはなぜだろう。とってもレベル高かったけれど。 コットンの1本目とやだんの2本目がいちばんお気に入りだったかな。 クロコップもよかった。 ビスケットブラザーズも面白かったのだけど、2本目、少しだけ噛んでしま…

風と共にゆとりぬ

的確な言葉や文章表現と究極のくだらなさを兼ね備えててステキ。 やっぱり、小学校で既に小説の応募を始めているというあさい少年、すごすぎる。 「自家発電サプライズ」「ブラック家族」「非常に地に足のついたリアクションで周囲を魅せた。私は家族相手に…

日記(2022年9月)

9月になって、今年初めての花火。話聞くのは嫌いじゃないし、楽しくないことはないし、懐の深い職場。 強いお姉さんたちはかっこいいよ。 カラオケのデュエットするやつ、どうなんだろう。 2日続けて空一面の夕焼け。 そっか、私今、ツイッターみたいなこと…

時をかけるゆとり

なんだか、とっても本音に近いような部分がさらけ出されていて、よかったです。 やはり、小説との振り幅がかっこいい。 でもあんまり友達にはなりたくない。 「ここは私のボキャブラリーが貧弱であったわけではないことを確認しておきたい。確かにこのとき私…

プリズム

著者の前2作に比べると少し物足りなく感じてしまうけれど、独特の感性は健在で。 世の中には、どうにもならなかった恋心みたいなもの、ほんとにたくさんあって、でもそういうものが人を変えてくれる。目に見えないようなところで。 安全な友達って、片方が思…

殺戮に至る病

相当グロいけど、読むのをやめられない。 的確な描写で、サイコな犯人への野次馬精神を捉えてくる。 十分読み応えあるのに、大きなトリックが仕掛けられているという。 イニシエーションラブを読んだときにも思ったけど、この手のトリックは、個人的には、す…

そして誰もゆとらなくなった

何も考えないで読める文章、ってあとがきで書いてあったけど、ほんと、ここまでネタに全振りしているエッセイは類をみない気がする。さくらももこ超えしている気もする。 読んでて楽しくて、くだらなくて、声を出して笑えるところがいくつもあった。 そして…

汝、星のごとく

また本屋大賞獲ってしまいそうな勢い。とてもよかった。 長い年月をかけて変わっていく2人の姿が、とってもリアルで切実で。 状況や心境の繊細な描写がすばらしい。 ヤングケアラーの過酷な人生を書いていて、多くの人の心に響くような物語だと思った。 瞳子…

たみおのしあわせ

へーんな映画! 意外性があって良いのだけれど、ちょっと納得のいかないことが多すぎて、、。 人間の嫌なとこが出ちゃってるというか。あんまり後味良くないかも。 転々とか、メゾン・ド・ヒミコとか、オダギリジョー、へんてこ映画に出がちな気がする。 へん…

好きにならずにいられない

又吉くんがおすすめしてたので見てみました。 躁鬱の女性の起伏に振り回されるフーシが健気で、切なくて。 引越を中断するところ、名場面だった。 誰かを想う真剣で見返りを求めない気持ちを、忘れたくはないな。 言葉だけではなく行動で示すことができたら…

きょうのできごと

こういうゆるっとした映画好き。 伊藤歩、とても好き。 妻夫木聡も似合うなあ。 まさみち、いい奴ね。 今日と明日の境目。 誰にでも小さな悩みがあること。 自分たちの知らない間にいろんなところでいろんなことが起こっていること。 劇的なことも、些細なこ…

その本は

よくできたお話。 というか、もはや大喜利。「たとえ正しくなくても、生きることをやめる理由にはならない、ということを。」 「いつも普通の質問する田中さん」 「竹内が話したくないことは無理に話さなくていいよでも、竹内が話したいなら、それが楽しくな…

明け方の若者たち

今度は映画を見ました。 原作で気に入ってた部分がカットされたりはありつつも、主演の2人がとってもイメージに合っていてよかった。 北村くんがベッドシーンで泣くとことかぐっとくる。 海がきれいで、黒島結菜がきれいで。 殺伐としてみえて少しずつ時間…

日記(2022年8月)

かゆみと痛みで眠れない、地獄のような時間。健康の大切さを、きっと失ってから知る。胸に響いて砕け散る花火。 空一面から降ってくる花火。きらきらのかけら。東北の人たちが熱くなる祭り、なんだか泣けてくる。夕方の空がきれいでした。大声で叫びたくなっ…

腹を割ったら血が出るだけさ

なんだか、あんまり好きではない表紙とタイトルなのだけど、住野よるは全部読んでおきたいなあと思って手が出るのです。 そして内容も、なんだかまわりくどくてめんどくさくて途中イライラしてきてしまうのだけど、最後まで読みました。 なんだろう、このか…

サウスポイント

よしもとばなな、ハワイの話。 ハワイや沖縄に、行ってみたくなる。 小さかった頃に、人生の幸福のようなものが見えて、あとはそれを失くさないための闘いだっていう感覚、とってもよくわかる。 それに、私は、待っていれば、思いが通じるっていうこと、けっ…

コンセント

田口ランディの著書、はじめて読んだ。 想像の3倍くらいすごかった。すごすぎる。 コンセントという言葉の意味合いが、作品の中でだんだんと変容していくその文章力とか発想力が抜きん出ている。 あと、ここまで容赦なく性を書ききることのできる女流作家っ…

女のいない男たち

ドライブ・マイ・カーの原作、読みました。 いくつかの短編を融合させてあの映画ができあがったのね。 私は、2作目に収録されている「イエスタデイ」が非常に好きでした。 木樽の滑稽さや繊細さがよかった。文化交流っていうアイディアも気に入った。 村上…